女性の平均体温が下がりつつある昨今、まず頭寒足熱という古来からある健康理論のお話しをします。
頭寒足熱とは下半身、特に足を暖め、血行を促進して各細胞に酸素と栄養素を運び、老廃物・体毒を取り去って体を活性化させるという意味の熟語です。
逆の頭熱足寒で血行が悪くなると、身体の中に淤血(おけつ)が生じやすくなります。
淤血とは東洋医学で血流が滞っている状態をさし、広い意味での循環器障害であり、多くの病気の根本的な原因とされています。身体のある部分で血流が滞り老廃物や体毒が溜まると、筋肉が硬くなって、いわゆるコリ(硬結)となります。コリとはつまり筋腫の一種です。良性ならまだしも悪性となればこれほど怖いものはありません。
その他、淤血と関係が深い病気と言えば、冷え性や肩こりはもちろん、頭痛、不眠、便秘、関節炎やリウマチ、動脈硬化、高血圧、胃潰瘍、肝炎、肝硬変、糖尿病、月経困難、不妊を含む性機能障害等、きりがありません。
冷えの恐ろしさを実感し、頭寒足熱の重要性をご理解いただけたら、次のステップは、その頭寒足熱を自分の身体に実現させる方法です。食事改善による冷え予防対策はもちろんですが、そこに今回ご紹介する真向法をプラスしてみるのはいかがでしょう。
たった4つのシンプルな体操ですが、毎日続ける事によって身体全体の組織がリフレッシュされ、血液サラサラ足元ホカホカ間違いなしです。
イラストのように足の裏の外側を合わせて座ります。
この態勢をとった時に、殆どの方が両膝が跳ね上がっていると思います。
そのような方は壁にもたれて両膝に手を置き、膝を下ろす練習をして下さい。
膝がある程度下がったら「かかと」と股の間を、握りこぶし一つ半ないし二つぐらい空けます。 背筋を伸ばし顎を引き、肩の力は抜いてください。足の裏の角度は45°位になります。
背筋を伸ばし肩の力は抜きます。肘は横に開き、上体を曲げていきます。
上体を起こす時は、直角以上になるように起こして下さい。
イラストのように、両脚を伸ばして坐ります。
丁度アルファベットのL字形になれば申し分ありません。
最初のうちは背筋が伸びなかったり膝が曲がって、足首が90°に返らない方が、殆どです。
これは太腿の後ろの筋肉やふくらはぎの筋肉が萎縮しているからです。
この筋肉群が萎縮すると腰痛が起こりやすく、また膝や腰が曲がってヒップダウンの原因になり、美容上も好ましくありません。
足首を70°に返したまま、息を吐きながら曲げていきます。曲げる時は身を乗り出すような感じで股関節から曲げて下さい。
視線は初めのうちは2~3メートル先を見たまま曲げ、曲がるにしたがって下を向いて下さい。 もちろん膝が曲がってはいけません。完全な効果的な姿勢は、胸、顔が脚に着きます。 息を吐ききったら上体をゆっくり起こします。起こしたときは、直角以上になるまで起こします。
脚を左右に開き背筋を伸ばし腰を立てて坐ります。両脚を約120~130°ぐらい開き(150°を限度とする)、足首が70度ぐらい返れば理想的ですが最初はなかな開きません。無理はしないでください。
第三体操の最大のポイントは、先ず両脚を開くことです。脚が開かなければ腰が立たず、したがって股関節から屈伸出来ません。
開く要領は両脚を出来るだけ広げて、両脚の内側の硬くなった筋肉を手で揉みほぐします。 少し柔らかくなったところで、左右数ミリずつ広げます。これを数回繰り返していると、最初は90°位しか開かなかった脚も、数ヶ月もすれば110°位まで開くようになります。
また、どなたかに前から両脚を押し広げてもらうのも一つの方法です。
腰を立て、背筋を伸ばしたまま股関節を中心に曲げていきます。曲げる時に手は床の上をスライドさせます。その場合肘は横に開いて下さい。
この動作が完成すると、イラストのように下腹、胸、顎が床に着きます。上体を起こした時は、最初の姿のように上体を直角以上になるまで起こします。 イラストのように、両足をお尻の幅だけ広げ、その間にお尻を下ろします。両太腿の内側はピッタリとつけます。
背筋はピンと伸ばし肩の力を抜きます。この座り方を「割坐=わりざ」といいます。ただし、現在膝の悪い方や、膝の関節が硬くてお尻が下に下がらない方は、座布団を二つ折にして尻の下に敷き、膝を上下に動かして膝の動きをよくし、楽に坐れるようになるまで割坐の練習をして下さい。
お尻が楽に落ちるようになったら、後ろに倒れます。
女性の方は大概出来ますが、男性は殆どの方が膝や太腿前部に激痛をともない、後ろに倒れられません。
後ろに倒れられない方は座布団かクッションを数枚重ね、その上に倒れて下さい。
上達するにしたがって重ねた座布団の枚数を減らしていきます。後ろに倒れたら両腕を真っ直ぐ伸ばして両耳に着け、同時に床にも着くようにします。
両脚でやるのが苦しい方は、片脚づつ交互にやって下さい。
呼吸は第一~第三動作までの呼吸と違って吐く息を長くします。(約3秒~4秒)吸う息は短くします。(約1秒~2秒)。慣れるにしたがって吐く息を長くします。(約7秒~8秒)。
起き上がる時は膝を持ち上げるようにして脚を抜き、両脚を伸ばしてから起き上がって下さい。
倒れたまま体を左右にひねってから起き上がると、腰を痛めることがあります。
注意!第四体操、腰痛の方は無理に倒すと腰に負担をかける場合があります。決して無理をせず、徐々に、そして気長に続けてください。まさに継続は力です。
この4つの体操が真向法の基本です。真向法は、簡単そうに見えて、イラストのように正しく且つ完璧な形にするのはなかなか難しいものです。
大切なのは10分でも15分でも良いので毎日続ける事です。一週間に一度2時間集中してやっても意味がありません。
無理をせず身体を気持ちよく動かせる範囲で、気軽にそして根気よく続けてみてください。 特に夏は、冷たい飲み物や食べ物の摂取量が増えます。
夏だけではなく、一年を通じて真向法で身体の内側からの体温調節をお勧めします。
塾 Shiatsupractor 塾長 小野田茂