引き際の妙

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FIFAのサッカーワールドカップもスペインが早々に一次リーグで大敗したので、ドイツとアルゼンチンの決勝戦のあった7月の13日の日曜までスペイン、マドリッドは静かな静かな町でした。レアルマドリッドの本拠地であるマドリッドの北に位置するサンチアゴ ベルナベウースタジアムの正面の駐車場に仮設された巨大なスクリーンも、韓国現代社の5台にも及ぶ展示車もお寒い限りでした。
 絆の波もお祭りも勝ってなんぼの世界のプロ集団、負ければさっさと引き上げて明日に備えるこんな感じでしたね。前回優勝のスペインです、国民は期待しますよね。しかし前回のメンバーとほとんど変わらずのメンバーで戦いに臨んだスペインです。他の国と勢いが違いましたね。プロにとっての4年の日々は老いとの戦いなんだとつくずく実感しました。特に世界一のキーパーと言われたカシルダもぶざまそのものでしたね。レアルの前回の監督に干されて、その監督が指導方針で上層部と衝突して辞めたわけですが、カシルダの使い方も問題になったようでカシルダ派の上層部との衝突も監督辞任の訳とも言われていた事もあり前回の監督の非情が正しかったことが証明されたわけです。オールスペインのボスケ監督も温情主義の長らしく旧メンバーと心中したわけです。

ボクシングのカシアスクレー、野球の長嶋茂雄、ぼろぼろまでやるか、限界の手前で辞めるか、登り詰めた王者の引き際、物語になりますね。もっとも金がなくてどうしようもなくバタバタしている元チャンプもたくさんいましたが、自分の力の限界を知ることは本当にさびしいことですが、現実は嘘をつきません。相撲なんかは満身創痍でテーピングだらけで相撲を取っている力士を見るとこの世界も半端じゃないと感じます。
 女優の森光子さんが大分年をとってテレビに出演して目がうつろで、言葉もアナンンサーとのピンポン会話もなくヤバイな是と思っていたら死んじゃったりたりして、また俳優の原田芳雄さんが、がんの末期でガリガリで以前の面影一つなく悲惨な姿で車いすに乗っかっている現実を芸能番組にさらけ出したり、本当に人間の引き際は百人百様なんだと感じます。全ての人間には、己の自由な人生が約束されています、みな平等に建前だけは。そして悲しい現実として元に戻れないという当たり前のことが、徐々に老いて朽ちていくという、これも皆平等の現実があります。
 平凡な一生を全うしてあの世に行くむずかしさは、ある程度の年をとると実感します。華やかな人生にも終わりがあり、全ての人が平等にあの世に行きます。引き際は人生において何回かあるわけです。その何回かを無事に通り越して徳を積むことが人生なのかー。今日はどうしたんだろう。まだまだ死なない。まだまだ死ねないを、なぜか考えた7月のけだるいマドリッドの夕方でした。

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