零細企業とスペイン人 やってられないよ PARTⅠ

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労働者には権利があります。何の権利か。それは休む権利があるのです。一年間の有給休暇が30日あります。産後の休暇、出産前の休暇、育児休暇、ちょっと調子が悪いというので医者に行くと一週間の休養、なんて簡単に証明書をだしてくれます。これだけ労働者を優遇する国は、スペインだけかもしれません。フランコの独裁が続いたスペインは、独裁が終わり、民主化に世の中が移行した時期に、自由の意味をはき違えて、権利だけを主張して義務を忘れた法案を社会主義のおじさん、おばさんがヒステリックに当たり前田のクラッカー(古すぎる)とバンバン成立させちゃったのでした。

 その上、土曜、日曜は休み、週40時間の労働、それ以上の時間を働くと一時間あたりいくらの付録が義務化。いたりつくせりの国スペイン、ちょっと前まで南米人は喜び勇んで、この世の天国とスペイン万歳を三唱していました。ところがやばくなると、うまくできたもので政権が社会主義から右に変わるのです。またバタバタ方向展開です。しかし時すでに遅し、27パーセントの失業者(これはからくりありで、そこまでの失業者数ではないと思います。)。出稼ぎの外国人は次々に失業、失業時の政府からの補助金が打ち切られると、家のローンも払えないので銀行さんに挨拶もなく自国に帰ってハイさようなら。こんな感じの付けが仰山あり、見せしめに世間に対してこいつがスペインを滅茶苦茶にしたんだと汚職の犠牲者(スケープゴート)として昔の大物を担ぎ出し、みんないつもやってるお友達なのにバランスとりに、人身御供でかわしているのが今の政権で、今の現状が昔の付けの代償払いなのです。
 ちょっと前までの、妙に劣等感の見え隠れした自信があるのかないのか、おろおろのピレネーを越えたらの、あの三流国に戻ってしまったのでした。
この付けの代償払いに私たち零細企業は、夏休みをどう乗り切るかと休み返上で働いているのです。このままでは零細企業は、絶対に成り立ちません。そんな訳で、家族企業が多いスペインでは、たとえ人を雇うとしても、3か月の期間労働者(仮採用)、日本でいう派遣労働者を雇い、2回まで延長が可能なので6か月雇い6か月以上続けると本採用にしなくてはならないので、まあ普通の家族商売レベルの会社であれば、6か月ごとに新しいメンバーで商売するようになります。雇われる方もせいぜい6か月の勤めということで仕事を真剣に覚えようとしませんので、サービス、気配り、やる気ゼロの状態です。また契約条件の職種を重要視しますので、セクション以外のことはやろうとしません。
 例えば、治療師として雇えば、洗濯、ベッドメーキング、患者の各治療室への誘導、ゴミ拾い、治療以外のことはやる必要がない条件なのです。これではセンターが成り立ちませんので、学校の生徒を青田買いして日本方式の治療師(何でもやる)を教育して当治療院のスタッフを育てて働いてもらっています。この職種に分けた雇用は、大企業には有利であっても零細企業は、すべてを覚えてもらい仕事をしてもらわなくては成り立ちません。
 この辺の詰りが、スペインの仕事欲を奪っている要因の一つです。また、雇用者に一つのことだけやらして主要仕事は、家族の一員に任せれば間違いを起こさ無いだろうという経営者のビジョンの低さの表れかもしれません。スペイン人は、家族以外の他人は信用しません。一見寛大そうに見えるスペイン人、実は誰も信用していないのです。犬をやたらに飼う人種、家のつくりはなかの見えないような作り、友達(アミーゴ)を会話に頻繁に使う。この辺がスペイン人の性格を現わしていますねー。

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