講習会は、なんと商工会議所の結構広い会議室を確保してありました。ブカレストの官庁街の一角に位置する建物の3階です。眠り狂四朗の風貌のルシアン先生、やりますね。オルガナイザーはどこの国でも、場所の確保に苦労します。ホテルの会議室を確保するのが手っ取り早いのですが、何しろ値段が高く、よっぽどBIGな大会でないと採算が取れません。30人程度の規模が一番難しいはずです。
この場所(商工会議所)はコネがないと無理な場所です。30年前まで共産党が支配していた国です。そういえば、いたるところに日本の団地形式の建物が目立ちます。結構使い込んだ団地のラッシュです。案の定、今でもその建物は公務員のためのアパートだそうです。そうかルシアン先生、奥の手を使ったんだーと、胸のうちで拍手を送りました。
建物の中はやはり立派そのもので、係りのおじさんも日本ファンで結構、盛り上がりました。何がと言われるとよくわからない盛り上がりでした。
この講習は、初めて言うことで、経費のみ、儲けなしの手弁当はいつものことでした。ただ気をつけなくてはいけないのは、貧乏国だから儲けなしの奉仕で自己満足していると、南米のガテマラに講習に行ったとき、貧乏国の一点張りでオルガナイザーが拝み倒してくるもんで、よしジャー手弁当でOKの契約で乗り込みました。指圧普及だ、自腹でOK.確かにこの国は、超貧乏国です。ただ集まった参加者は、マッサージ師、理学療法士、そして看護婦さん、2,3名の医者なんと80名も集まったのでした。ビラを見ると結構いい料金設定です。そしてその参加者の大部分は、人口の2割程度の金持ちをターゲットにして働いている人たちで、みんな金を稼いでいる参加者でした。契約は契約です。オルガナイザーの儲けたことを後で聞き、地団駄踏んだのは、つい最近のことです。
ルシアン先生はどうかと考えると、食事の接待、ホテル料金、もろもろで、赤字が歴然としていました。一言も愚痴を言わずの侍でした。未来投資と考えれば安いかもしれません。私たちも、精一杯の仕事をさせていただきました。ここにルーマニアの指圧協会の立ち上げに訪れた充実感を感じました。
4日間の短い滞在、結構、悪印象が好印象に変わった国でした。乞食すなわち物乞いの人をほとんど見ませんでした。すべての乞食さん、泥棒さん、ゴミあさりのおじさんたちは政府の後押しでみんなスペインにと、バスで流されたのかもしれません。ヨーロッパで3指の大きさを誇るショッピングモールに行き、スケールの大きさに驚かされたのも事実です。おそらくちょっと離れた農村は、悲惨なのかもしれません。
短い滞在中、制服の警官を見たのがまれだったと感想をルシアン先生に漏らすと警官は制服だけじゃないからねーと意味ありげに言った言葉が,少々背筋を凍らせました。旅人は、いい思い出だけ残して帰る。これでよしとしよう。