指圧の心は無心の心

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やる気の虫(無視)が騒いでいるときはきっと気の停滞もなく、体は絶好調なんだと思います。その絶好調を信じるとどーんと体が最悪の事態になったりして人の体を触診して読むことはなんとなくできるようになりましたが、自分の体はいまだ持って読みきれません。

この人やばいなを読み取れるようになってから、どういうわけか癌患者の末期のおじさん、おばさんが私の患者に混ざりこむようになりました。指圧をやっても治りませんよと必ず初診の問診時に伝えます。
 あそこに行くと何でも治っちゃうなんていわれるとこれはもうアフリカの祈祷師になっちゃうので自分の限度を正直にお伝えします。ただ治療所に来てくれた人には、誠心誠意の治療をします。技術を超えた気の塊をぶつけます。言葉は要りません。気の塊です。今はただそれだけの治療になりました。
 昔は、テクニックをめちゃくちゃ披露して疲労しながら治療をしました。結構そのころは患者さんを満足させていたと思います。自分に酔っちてる時代ですね。一発屋(一回の治療でok)じゃないけど、俺天才そんな思い込みの時代ですね。休みなしの10人ぶっ続けが何日も続いたことを覚えています。スペインのバブル期同様、onoda指圧の絶頂期です。何年かそんな時期が続いてVIPが来ては、政治家が来ては、テレビも出たし、新聞にも出たし、一ヶ月の患者の数が1500人平均が3年ほど続きましたね。体のががたがたはともかく、治療が面白くなくなった時期でもありました。何しろ痛みをとることに専念しました。痛みをとることは、治療師には必要なことなんですが、それだけやっていたんじゃ西洋の医療とそう、薬投与と変わらないじゃないかと気がついたのでした。
 でも食うために痛みをとる。患者さんは、指圧だろうがなんだろうが楽にしてくれればそれで良しなんです。その辺を虚しく思い始めて、あるときから痛みをとる治療をやめました。あらゆるテクニックを使用して華麗なるマジシャンから卒業しました。
 すべてのテクニックを基本テクニックに変えて自然治癒力を高める治療に変えたのでした。患者数も減って、華麗さもなくなり、ただのおっさん治療師になりました。ただの普通の指圧治療院です。
宣伝もなし、ただただ電話と口コミの治療院です。なんとなくやってる治療院ですが、よその国からも患者さんがが来たりして相変わらず忙しいことは忙しいのですが。ただただ今は無心で患者さんを治療して評価は後回しの一期一会の治療に心がけています。

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